2008 Fiscal Year Annual Research Report
日向・畿内両地域間における埴輪工人・工人集団の移動からみた埴輪生産組織の研究
Project/Area Number |
20520668
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Research Institution | Otani Womens University |
Principal Investigator |
犬木 努 Otani Womens University, 文学部, 教授 (40270417)
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Keywords | 考古学 / 古墳時代 / 埴輪 / 埴輪生産 / 同工品 / 同工品識別 / 同工品論 / 西都原古墳群 |
Research Abstract |
本年度は、各機関所蔵の西都原古墳群出土埴輪の調査・研究を実施した。まず、京都大学総合博物館所蔵の西都原171号墳出土埴輪の調査を行い、器財埴輪の大部分については、実測・拓本・写真撮影を終了した。また、宮崎県立西都原考古博物館所蔵の西都原170号墳出土埴輪についても、円筒埴輪の実測・拓本・写真撮影・計測を行った。さらに大阪大谷大学でも、以前から行っている西都原169号墳・170号墳出土埴輪の調査・研究を継続した。現時点での見通しとして、西都原古墳群出土の埴輪は、大きく(1)女狭穂塚グループ[女狭穂塚古墳・西都原169号墳・同171号墳]と(2)男狭穂塚グループ[男狭穂塚古墳・西都原170号墳]に二分できる。特に、女狭穂塚グループに属する三古墳において、同一埴輪工人が製作した埴輪が器種をこえて見出されている点は、非常に重要な成果である。 また本年度は、畿内中枢部でも、古市古墳群の西墓山古墳・狼塚古墳出土埴輪の調査・研究を実施し、それぞれ観察・写真撮影・計測を行った。先行研究において各古墳の埴輪の最大公約数的特徴が検討されるのみであった研究状況に照らせば、同工品識別に基づく一古墳単位での悉皆的な分析作業に着手できたことは、畿内における埴輪生産組織の研究を行う上でも非常に重要な成果である。 本研究の基軸をなす同工品識別という研究手法は、まだ開発途上の方法で、さらに多くの分析事例を蓄積する必要がある。そのためにも、中期中葉という限定された時期以外の古墳についても、埴輪生産組織研究・同工品研究を行う上で必要不可欠な事例については、比較参照資料として必要に応じて調査・研究を行っている。
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