2010 Fiscal Year Annual Research Report
近・現代における八重山-台湾間の双方向的な人の移動と地域の変容
Project/Area Number |
20520696
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
水田 憲志 大手前大学, 総合文化学部, 非常勤講師 (90469239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
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Keywords | 八重山 / 台湾 / 石垣島 / 西表島 / 移民 / 植民地 / 引揚 / 生活史 |
Research Abstract |
平成22年度は、昨年度に引き続いて現地調査、資料調査、インタビュー調査を実施し、研究グループ全体での成果公表に向けた準備作業を継続して行った。 沖縄県出身の台湾引揚者について、台湾の台東市、宜蘭県蘇澳鎮および沖縄県石垣島、与那国島での現地調査を実施し、台湾および沖縄県内の諸機関で資料収集を行った。台湾引揚関係者へのインタビューは3年の研究期間でのべ30名を数え、台湾引揚に関連する多くの証言を得た。日本植民地時代の台湾で出生した「湾生」に対する生活史の聞き取り調査も継続して行い、台湾での生活経験や戦後の引揚に関する生活史を蓄積したほか、台湾の学校同窓会関係者や引揚者団体関係者合わせて30名に対するグループインタビューを実施した。以上の調査から、これまであまり注目されてこなかった戦後沖縄における台湾引揚の実態解明につながる成果が得られると期待される。 戦後琉球政府時代の八重山に関して、沖縄県内の諸機関に所蔵されている基礎的な統計資料の収集をほぼ完了した。石垣島で発行されている地元新聞の記事収集作業を継続し、戦後から1960年代までの約20年分を収集することができた。収集した資料の分析から、戦後の八重山におけるパインアップルと水牛の普及から衰退に至る過程や地域社会への影響の解明が期待される。 研究成果の公表については、研究協力者の松田良孝による『台湾疎開-「琉球難民」の1年11カ月-』(南山舎)が2010年新聞労連ジャーナリスト大賞を受賞するなど、一定の成果を得た。研究グループで会合を重ね、研究成果を地域社会に還元するための図書出版にむけた準備作業を継続して進めた。地域の中学校・高校向けの副教材、修学旅行生および石垣島の歴史に関心を持つ一般観光客のための観光ガイド、地域における生涯学習のためのテキストとして用いることができる内容を企画し、出版社との交渉作業を進めた。
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Research Products
(2 results)