2011 Fiscal Year Annual Research Report
スールー海域世界を中心とする特殊海産物の移動と越境に関する歴史人類学的研究
Project/Area Number |
20520703
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
床呂 郁哉 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (90272476)
|
Keywords | 東南アジア / スールー海域世界 / 特殊海産物 / 真珠 / もの / 文化人類学 / 歴史人類学 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに続きフィリピン南部のスールー諸島およびその周辺地域(スールー海域世界)を含む東南アジア海域世界に生活する多様な海洋民たちの生産するいわゆる特殊海産物(ナマコ、フカヒレ、真珠、真珠母貝、燕の巣など)の生産(採取)とその国境を超える移動や越境、流通と消費の歴史的変遷に焦点を当てて調査研究と資料の整理、分析を実施した。 具体的にはフィリピンにおいて、東アジアを含むアジア海域世界、インド洋海域世界を媒介とした主に真珠を中心都市や特殊海産物の生産と流通・消費・技術移転等のネットワークや各地の多様な利用の実態などに関して資料の収集と分析を実施した。フィリピンでは真珠に関してアコヤ貝真珠、白蝶真珠や黒蝶真珠、マベ貝真珠の生産(養殖)に関して補足調査を資料の分析を行ったのに加えてこうした海産物生産が現地社会のみならず加工地や消費地にどのような影響を及ぼしてきたのかに関しても資料収集と分析を実施した。さらに理論的な立場から、こうした事例が「もの」(物質分化)研究において何を意味するのかという点に関しても考察と分析を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請初に記したスールー海域世界を中心とする特殊海産物の交易の状況等について、とくに真珠を中心に現地調査を含めて概ね当初の目的に沿って実施することができたと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年はとくにスールー海域世界のうちフィリピンを中心とした真珠等の流通と利用の実態に関して東南アジアおよび可能であれば消費地においても海外調査を実施するなどの補足調査を通じて、これまでの知見と併せて総合的、多角的に研究を実施していくことを目指す。
|
Research Products
(5 results)