2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530029
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡田 正則 Waseda University, 大学院・法務研究科, 教授 (40203997)
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Keywords | 国家賠償法 / 国家無答責 / 公権力の行使 / 訴願法 / 行政裁判法 / 事実行為 / 行政不服審査法 / 行政事件訴訟法 |
Research Abstract |
国家賠償法制史に関する研究は、共著書『法学研究の基礎』中の「国・公共団体の責任----損害賠償責任を中心に」で概要をまとめた。具体的には、<「行政処分」は、明治期には国家賠償の対象行為と位置づけられていたが、ドイツ由来の「行政行為」(公権力の行使)概念を用いて解釈されるようになった1920年代以降においては、賠償免責の概念として機能した>ということを明らかにした。国家賠償関係の約150件の大審院判例の分析については作業中であり、成果の公表は2009年度になる予定である。 行政不服審査制度史および事実行為と行政訴訟法制・国賠法制の関係史についての研究も進めた。前者については、<日本において行政争訟制度が(行政活動の適法性担保制度ではなく)「権利救済」制度として創設されながら、行政組織内部の力関係という歴史的事情から列挙主義を採用したため、対象事件が極度に限定されたこと、戦後改革・行政争訟法制整備の過程においても「司法裁判所の役割の限界」という思考によって問題解決の方向性を見失ったこと>、後者については、<1880年代から90年代にかけての外国法継受において、行政救済法制の制度モデルがフランスからドイツに転換された際に、公土木事件の位置づけが不明瞭になったこと、1910年代以降、「行政行為」概念を用いて「行政処分」を解釈するという思考方法が支配的になったことにともなって、事実行為についても権力性の有無が問題とされるようになり、これが行政裁判所や司法裁判所での救済可能性の有無を左右するようになったこと、事実行為に対する救済について戦前の行政裁判所が果たしていた役割を、戦後の司法裁判所への一元化(行政裁判所廃止)の改革が顧みなかったこと>を明らかにした。
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Research Products
(6 results)