2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 啓亘 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80252807)
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Keywords | 国際法学 / 国際連合 / PKO / 地域的機関 / 安保理 / 多国籍軍 / 内戦 / アフリカ連合 |
Research Abstract |
本年度は作業の最終年度ということもあり、大きく分けて、これまでの研究のまとめを含む検討と、本研究によって得られた知見に基づく今後の展望についての考察を行った。 前者については、国連の平和維持機能と地域的機関によるその実践という観点から、国連の権限の伸長を素材に、シエラレオネ内戦における国連の実行を検討した論稿(「国連の介入」落合雄彦編『アフリカの紛争解決と平和構築シエラレオネの経験』所収)を発表した。この作業により、内戦に関与するアクターや関連国際機構と、国連がその活動において有機的に連関していることが確認された。また、国連とアフリカ連合との権限関係については、"New Relationship between the United Nations and Regional Organizations in Peace and Security : A Case of the African Union"という論稿を準備中であり、ここで広く国連と地域的機関の関係の再定位を行うことを予定している。 後者については、国連の任務遂行の展開により他のアクターが影響を受けることも多くなったこと、とりわけ私人との関係では人権や人道に関する国際法規範の適用により国連の活動に対する一定の規範的制約も生まれてきていることが明らかにされたことから、こうした国連の平和維持機能の「光」と「影」の部分をそれぞれ詳細に検証・分析するとともに、両者の関係を明らかにすることを通じて、国連平和維持機能の正統性と実効性を強化する法的理論的枠組みを構築する作業の準備を行っている。
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