2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会と事業承継―法制度の横断的検討、特にドイツ法との対比で―
Project/Area Number |
20530063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 龍児 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (30009815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
山本 哲生 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80230572)
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Keywords | 生前処分 / 死後処分 / 共同相続と債権 / 遺留分権利者 / 相続債権者 / 保険金請求権 / 予防法学 / ドイツ相続法の改正 |
Research Abstract |
本年は本研究の最終年度であったが、2009年の年末に法案が連邦議会を通過し、2010年の始めから施行されるに至った。その結果、当初の研究計画であった相続法の改正に対する学界・実務からの一応の提言があった2005年のドイツ法曹大会以後の法改正論議の検討とともに、改正法の内容の検討を行った。その重点は、(1)遺留分剥奪事由の現代化、(2)介護給付を寄与分として承認する要件の緩和、及び、特にわが国の法制度との関係では、(3)遺留分補充請求権の猶予の拡大、(4)遺留分補充請求権の消滅時効を10年から10年の間毎年10%ずつ漸減させるという点にある。本研究との関係で重要なのは、(3)(4)である。特に、(3)は事業承継で、遺留分補充請求に応じることによる人的会社の解体を防止する措置として期待されているが、必ずしも十分ではないという評価もある。さらに、(4)に関しては、一応の法的安定性の向上に資するとも期待されているが、これを活用した予防法学のあり方については現在の段階では不確定である。本年の検討の中心は、以上の相続法改正と事業承継のあり方におかれた。以上の改正点の中で、特に本研究にとって重要なのは、(3)及び(4)である。ただし、(4)に関しては、従前より法的安定性は向上するが、決定的に遺留分を制限するものではない。さらに、(3)は明確に事業承継に向けた改正案ではあるが、少なくとも改正法の文言からは今後の解釈の余地が大きい。その結果、以上の改正を前提とした実務、予防法学への影響は小さいか、未定であるととりあえずの結論を得た。
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Research Products
(19 results)