2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松久 三四彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10142788)
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Keywords | 時効 / 取得時効 / 消滅時効 / 時効期間 / 除斥期間 / 時効の中断 / 時効の停止 / 時効の援用 |
Research Abstract |
民法典制定後、判例・学説により補充された内容を洗い出し、当否も含めて、改正時効法に組み込むという立法的解決になじむものと、そうでないものを仕分けした。そして、それらの点につき、21年度までの比較法的研究でえられた成果をもとに、わが国においてはいかに対応すべきかを研究した。その主要な対象は、具体的には、第1に、存在理由論である。これは、抽象的なレベルでの判旨中の表現よりも、重視すべきは、どのような者が時効の利益を受けているかである。この点は、時効の効果を権利消滅とするのか、給付拒絶権とするのかとかかわってくる。消滅時効では、未弁済を時効の利益を受ける者として正面から認めるべきかどうかについては、援用を信義則違反ないし権利濫用とした判例の分析が必要であるが、これは次年度の重要な研究となる。 第2に、判例により拡張されてきた時効中断事由の扱いと、判例が否定した事由のなかに再考すべきものはないか、逆に中断を認めたものに疑問のものはないかを精査した。第3に、交渉中にも進行を認めることには問題があるとの認識はほぼ共通であるかに見えるが、それを進行停止にもってくるのがよいかどうか、第4に、中断・停止については、承認と執行行為のみを中断事由として、他はすべて停止事由とする(たとえば訴えの提起は停止事由とし、勝訴して確定すれば時効期間を延長するということで対処する)というドイツ新消滅時効法等が示すモデルにわが国も倣うべきかを検討した。そのほか、消滅時効の起算点、合意による消滅時効期間の変更等についても検討した。
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Research Products
(7 results)