2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松久 三四彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10142788)
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Keywords | 時効 / 取得時効 / 消滅時効 / 時効期間 / 除斥期間 / 時効の中断 / 時効の停止 / 時効の援用と信義則 |
Research Abstract |
取得時効については、不動産の法律関係につき各国の固有性があるため、消滅時効ほど統一化の動きは少ないが、わが国の取得時効のあり方を研究するため、近時の各国の改正法等における扱いを検討した。そこでは、まず、取得時効と消滅時効を時効の名のもとに一元的に把握し、総則編の中に規定するか、取得時効を物権編にもってくるのが妥当かについて留意した。後者の場合、現在の時効通則規定による部分をどうするかという問題をあわせて検討した。つぎに、ドイツ法のように登記を要件とする登記簿取得時効制度導入の当否について基礎的な検討を加えた。日本は取得時効天国といわれていることからも、この検討は重要である。さらに、悪意占有者の時効取得は、学説上は一般にこれを認めるが、これに疑問を呈するものもでてきている。この点を、まず解釈論レベルで吟味する作業を行った。 存在理由論については、消滅時効に関する判例研究を中心に行った。そこでは、抽象的なレベルでの判旨中の表現よりも、重視すべきは、どのような者が時効の利益を受けているかである。この点は、時効の効果を権利消滅とするのか、給付拒絶権とするのかとかかわってくる。また、消滅時効では、未弁済を時効の利益を受ける者として正面から認めるべきかどうかについては、援用を信義則違反ないし権利濫用とした判例の分析が必要であり、消滅時効完成前の事情による場合について、権利の種類、理由づけの類型などを総合的に検討した。
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Research Products
(5 results)