2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530099
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
新藤 宗幸 Chiba University, 法経学部, 教授 (30138549)
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Keywords | 司法改革 / 司法官僚 / 裁判員制度 |
Research Abstract |
本研究は、日本の司法システムについて政治学、行政学、法律学の観点から総合的に行うものである。基本的には、(1)1980〜90年代の政治改革・司法改革以降に視野を広げる、(2)政治・司法改革以前を歴史的視角から逆照射する、(3)それら全体を日本の法文化というより長い法制史・思想史的視座から総合的に考察する、という短・中・長期的な三つ時間軸のもとに展開されている。 (1)については、司法官僚制の構造と機能の歴史的考察として、戦後司法改革の実態と最高裁事務総局のキャリアパスに関するデータ整理、判事などへのヒアリングをもとにして、戦後日本における司法官僚制の構造ならびに機能についての本格的な検討を行った。また判例分析としては、司法と政治の戦後における構造的変遷の考察を基盤に据えながら、政治腐敗事件ならびに行政事件の司法改革以前以後の変化を明らかにするべく、主立った汚職事件の分析を進めている。さらに、法制度運用の実態分析としては、社会状況の変化における法制度の未対応の問題や被害者感情と司法参加にかかわる現状把握、人々の日常生活における法意識と司法システムとの関係解明を順次進めている。国際比較の点では、イタリアとアメリカにおける司法制度改革の調査を進め、さらには戦前・戦後の歴史的パースぺクテイヴから見出される司法構造の解明作業を進めた。 (2)(3)については、司法改革をめぐる法制史・思想史的観点から問題の構造を明らかにすべく、政治空間における司法システムの位置づけを資料的に整理し、司法改革の構造を解明する基礎作業を試みた。今後は、陪審制・参審制・司法参加の時空間的考察を通じて、陪審制や参審制の作られてくる思想的背景とそれに呼応する具体的な司法・行政手続きのあり方について考察を進める予定である。
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Research Products
(4 results)