2010 Fiscal Year Annual Research Report
韓国の自由貿易協定をめぐる国内政治-社会経済政策と外交安保政策の交錯
Project/Area Number |
20530113
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
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Keywords | 政治学 / 韓国政治 / 自由貿易協定 / 韓米FTA / 東アジア国際関係 / 地域秩序形成 / グローバリゼーション / 多国間主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、韓国のFTAをめぐる国内政治に焦点をあて、社会経済システムと対外戦略の変化の過程を明らかにすることである。昨年度までの研究で、韓国政府が日韓FTAから韓米FTAに重点を移し、後者の締結に至った過程を明らかにしたが、今年度は、その際に実証が不十分だった点を中心に研究を進める計画であった。そこでは「地域協力による秩序構築から米韓二国間同盟重視に回帰」した外交安保戦略の変化の実証にも重点をおいていたが、関係資料へのアクセスが困難だったため、途中から、国会審議に集約された政策過程に研究の重点を移した。 本研究では、民主化後にグローバル化が進展する下で、経済政策および外交安保政策の変化がFTA戦略の変化を規定していると分析視角を設定したが、その部分を実証的に検証するため、金大中政権から李明博政権までの時期を中心に、経済政策および外交安保政策の国会審議を中心に検討した。その際、何がアジェンダとして設定され、対立軸がどのように変化しているかに焦点をあて、国会における対立は社会勢力からのどのような要求を背景としているのかを分析し、グローバル化への対応や対外政策の方向性をめぐる対立が、FTAをめぐる政治対立として顕在化していることの実証を試みた。FTAが、「地域秩序構築という対外政策」と「新たな社会経済システムの構築という国内政策」の手段として位置づけられていることを検証し、それぞれの側面が強く働く条件を検討したのである。 今年度の成果はまだ論文にまとめていないが、本研究は、韓国のFTA政策を対外政策的な側面と国内政策的な側面から総体的に捉え、その変遷過程を明らかにしたもので、転換期にある韓国の対外政策および社会経済政策の選択をも明らかにする意義をもつ。韓国政治の実証分析であると同時に、グローバリゼーションへの対応の比較研究や地域秩序構築という分野の研究にも寄与するものである。
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Research Products
(1 results)