2011 Fiscal Year Annual Research Report
途上国におけるローカル・ガヴァナンスとアソシエーションとのシナジー型発展の研究
Project/Area Number |
20530125
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松下 冽 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (50229465)
|
Keywords | 参加型予算 / ケーララ・モデル / 市民社会 / ローカル・ガヴァナンス構築 / 民主的分権化 / シナジー型発展 / アソシエーション / 民衆キャンペーン |
Research Abstract |
本研究の目的は、メキシコ、インド、ブラジルの3カ国におけるローカルな分権化の諸実験を比較検討し、それを踏まえて「シナジー型ローカル・ガヴァナンス」の理論的枠組みを提示することにあった。第1に、メキシコついては2010年3月に『現代メキシコの国家と政治-グローバル化と市民社会の交差から-』(御茶の水書房)を出版し、本研究の成果の一部を反映させた。本書は、「メキシコの政治面を根源的に論じた本格的分析書」、「日本におけるラテンアメリカ研究の中で、政治論において理論と実証を目指した画期的な著作」(『図書新聞』2010年7月31日)との評価を得た。第2に、インドに関しては、ケーララ州トリヴァンドラムで現地調査(平成22年3月6日~13日)とCentre for Development Studies(CDS)での資料収集の結果を中間的な研究成果として公表した。2010年に「民主的ローカル・ガヴァナンスとシナジー型「国家-市民社会」関係--インド・ケーララ州が提起する課題(上・下)」(『立命館国際研究』第23巻2,3号)である。さらに、平成23年度には、ガヴァナンス構築と社会運動との関連性に焦点を当てて下記の論文を公表した。第3に、ブラジルにおいてはサンパウロとポルト・アレグレを訪問し(平成22年9月1日~8日)、サンパウロ大学およびリオ・グランデ・ド・スール連邦大学(UFRGS)の研究者と参加型自治の現状と諸課題およびアソシエーションとの関連性について意見交換した。ブラジルについてはこれまでも若干の研究成果を公表してきたが、現在、参加型予算を含めた参加型制度とアソシエーションとの相互連関、および「市民社会-政治社会」関係の変化に及ぼす社会運動の位置に関わる論文を作成中である。 なお、本研究の総合的成果として、『重層的ガヴァナンス構築/民主主義/新しい社会運動』(ミネルヴァ書房:仮題)を「立命館大学学術図書出版推進プログラム」の助成をうけて出版することが決まっている。同書で、ブラジル、メキシコ、インドを含めた三カ国を対象とするローカルな分権化の比較検討とそれを軸にした「シナジー型ローカル・ガヴァナンス」の理論的枠組みを提示できると考えている。加えて、本研究を全面的に発展させた成果を公表できると考えている。
|
Research Products
(4 results)