2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530126
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 義器 摂南大学, 外国語学部, 教授 (10277858)
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Keywords | 平和 / 政治理論 / 安全保障政策 / 戦争 / 平和研究 / 外交政策 / 政策評価 / 防衛政策 |
Research Abstract |
本研究は、武力の整備および運用をめぐる政策決定に適用可能な規範的正当化の原則を明らかにすることを最終的な目的とし、関連する研究分野のうち、とくに安全保障研究と平和研究を考察対象としてその研究成果を規範的政治理論のなかで接合し、もってこれら3分野における平和と武力の相互関係についての理解を批判的に吟味するための基礎を据えることを到達目標としている。 安全保障研究分野においては規範的政治理論および平和研究分野の研究成果との接合の進展が見られるとの昨年度の研究成果に基づき、本年度は研究実施計画にしたがって安全保障研究分野を中心に、併せて規範的政治理論および平和家研究分野についても欠けていた資料の補いを行った。その結果、基礎資料の収集はほぼ終えることができた。 理論的検討においては、三つの研究分野それぞれにおいて思いのほか他分野からの影響が浸透していることが明らかになった。しかもそれぞれの研究の最先端においてはおおよそ共通する特徴として、「リベラルな平和」の構想に対する批判的な吟味があるとの見通しを得ることができた。加えて、このような研究動向についてだけ言えば、規範的政治理論においてはJ.グレイのmodus vivendi論が同じ方向性を示しながら、研究分野内においてはまだ充分に浸透していない点で、他の分野よりも検討の進展が遅れているとも言える一方、他の2分野においては依然として正戦論に対する期待が高いことも明らかになった。 当初見込みとの若干の相違および依頼原稿が複数あったためにworking paperの発行に至らなかったが、全体計画に影響はなく、来年度には成果を日英両言語での研究論文をまとめる。
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