2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三野 和雄 Kyoto University, 経済研究所, 教授 (00116675)
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Keywords | 家計の異質性 / 消費の外部性 / 資産分配 / 均衡の決定性 / 貿易構造 / 新古典派成長モデル / 世代重複モデル / 消費の習慣形成 |
Research Abstract |
平成21年度は、以下の3つのトピックについて研究を行った。(1)消費の外部性と異質な家計が存在する新古典派成長モデル:消費外部性の形態と程度が異なる複数の家計が存在する新古典派成長モデルを設定し、外部性を通じた各家計の消費の相互依存が、経済の動態と長期的な資産分配にどのような影響するかを分析した。その結果、各家計が他の家計の消費行動に順応的であるか否かによって、経済の成長経路に実質的な違いが生じ、長期的な家計間の資産分配のパターンも消費の外部効果の形態と程度に大きな影響を受けえることを確認した。(2)貿易構造と均衡の決定性の関係:各国において、異なる初期資産を持つ代表的家計が存在する2国動学モデルを設定し、貿易構造に関する仮定の差が、世界経済の均衡の決定性にどのように関係するかを検討した。社会的技術が規模に関する収穫一定を満たし、かつ生産の外部性が存在するヘクシャー・オリーン型の2財・2国モデルを用いて、2つの最終財のみが国際間で取引され、2国間の貸借がない場合と最終財の一つが非貿易財であり、国際間の貸借が許される場合を比較をした。その結果、貸借と非貿易財が含まれるケースでは、閉鎖経済に比べ均衡の不決定性が発生しやすくなることを確かめ、国際化と経済の安定性の関係は貿易構造にも依存することを示した。(3)世代重複経済における消費の習慣形成:このトピックでは、世代間の異質性が存在する世代重複経済のモデルを用いて、消費におけるexternal habit formationとinternal habit formationの効果の違いを調べた。この場合のexternal habitsは親の世代から受け継いだ消費習慣であり、世代間の消費の外部性を表している。モデル分析の結果、消費の習慣形成におけるこのような区別は、代表的家計モデルとことなり、世代重複経済ではモデルのふるまいに重要な影響を与え得ることを示した。
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Research Products
(4 results)