2008 Fiscal Year Annual Research Report
労働やジェンダー関係が人口に及ぼす影響-特に働き方、雇用の多様化を中心に
Project/Area Number |
20530224
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤野 敦子 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 准教授 (50387990)
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Keywords | 労働経済学 / ジェンダー / 人口 |
Research Abstract |
今年度の中心的な研究実績は、研究実施計画にある通り、連合兵庫、財団法人兵庫勤労福祉センターの協力の下で、次のような新たな調査を実施したことである。第一に、2008年8月1日から2008年9月7日にかけて兵庫県内で勤務する正規従業員5280人、非正規従業員4817人に質問紙配布によるアンケート調査を行った(有効回収数:正規従業員2152人、非正規従業員1309人)。第二に、質問紙配布によるアンケート調査における偏りや回収数の問題を解決するために2008年9月12日から9月17日にかけて、日本統計調査に依頼し、非正規従業員768人に対するWeb調査を補完的に実施した(有効回収数386人)。さらに、これら二つの量的調査を補完するために2008年11月29日から12月8日にかけて非正規従業員10名に対するインタビュー調査を行った。これら量的分析、質的分析から、昨今の非正規化、雇用形態の多様化の実態を解明するとともに、どのような課題を抱えているか現在、分析を施している段階である。特に、雇用多様化が若年世代の生活や結婚意欲、子どもを持つ意欲にどのような影響を与えているかについての分析からは興味深い結果を得ている。昨今の非正規化、雇用多様化の影響により、若者世代は結婚意欲を低めたり、結婚への不安を強く感じたりしている。夫婦世帯では非正規同士の世帯、妻が非正規従業員であれば、子どもを持つ意欲を減退していることが示されている。現在の非正規化、雇用の多様化は、現実的には労働者自体の選択肢を多様化しておらず、様々な不安・不満を抱えている現状を示すことができた点で大変意義深く、また政策的に重要な示唆を与えるものとなっている。
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