2010 Fiscal Year Annual Research Report
経済格差の拡大と経済成長-異なる税制下における比較検討-
Project/Area Number |
20530247
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
森田 雄一 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (30285225)
|
Keywords | 経済政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、経済格差の拡大が経済成長に及ぼす効果を検討し、どのような影響を経済活動に与えるのかという点に焦点をあてた議論が行われる。なお研究を進めていく上で考慮される重要なポイントは、先進国の抱えている少子化という状況の下で、できるだけ経済成長を阻害しないような再分配政策のあり方、つまり税制の設計をどのようにするべきかという点である。過年度において少子化が現行の税制のもとで税収入に対して与える影響について考察を行ってきた。いわば財政収入の観点からの議論である。平成22年度については、今日の状況下において行財政の効率化を各行政主体がどのように考えているかという点から分析を行った。いわば財政支出と行財政体制の在り方についての視点である。用いられた手法は主成分分析であり、分析対象は東海3県(愛知県、岐阜県、三重県)の全市町村である。その結果愛知県と三重県については経費削減を中心として、また岐阜県についてはそれに加えて企業的会計手法の導入による効果がみられた。また職員等の管理の視点からは愛知県、岐阜県が職員の能力・生産性の向上に主眼をおおき、三重県は職員数の削減等をはかっていることが明らかになっている。またその他の特徴として愛知県が市民の協調の把握にかかわるものに力を注ぎ、岐阜県、三重県では行政の電子化に積極的に取り組んでいることがうかがわれる。各市町村の財政力と行財政の効率化の点からは財政力のある自治体ほど経費等の削減や入札制度の改革などに力を注ぐ一方、公共事業の抑制には消極的であることが明らかになった。 これらの事実は今後の維持可能な行政活動の在り方を考える上で重要な示唆を与えている。
|