2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本株式市場におけるコントラリアン/モメンタム効果に関する実証研究
Project/Area Number |
20530265
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 功 Osaka University, 金融・保険教育研究センター, 特任講師 (20361579)
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Keywords | ファイナンス |
Research Abstract |
世界の主要株式市場(特に欧米市場)それぞれに関する実証研究において、過去中期リターン(半年~1年程度)が高かった銘柄群が低かった銘柄群をその後の中期リターンにおいてアウトパフォームするというモメンタム効果(モメンタム戦略の高収益性)が報告され、その源泉が何であるかは過去10年間の実証ファイナンスの主要研究テーマのひとつになっている。このモメンタム効果の不在は日本株式市場の大きな特徴であり、他国主要市場との相違の原因を解明は本研究の中心的なテーマのひとつである。本年度は、モメンタム効果を合理的アセット・プライシング理論の枠組みの中で説明するSagi and Seasholes(J. Financial Economics 84(2007)389-434)の成長オプション・モデル(SSモデル)のインプリケーション(成長オプションが大きい企業の株式リターンは正の自己相関を持つ)に基づく強化モメンタム戦略の有効性について日本市場データで検証した。検証方法は、企業の成長オプションの代理変数として株主資本簿価時価比率(BM)を採用し、その値により東証1部上場銘柄を4分割し、各グループをユニバースとするモメンタム戦略の収益性について調べるものである。実証結果として、最低BM(高成長オプション銘柄)グループを投資ユニバースとして用いた場合にSS理論の予測通りモメンタム戦略の収益は高く、それ以外のグループでは統計的に有意ではないものの負となった。また、低BMグループのモメンタム戦略ポートフォリオ・リターンのマルチファクター・モデルにおけるマクロ生産ファクター(鉱工業生産指数より算出)への感応度が高いという実証結果も得られたが、これは、これまでパズルと考えられてきた日本市場におけるモメンタム効果の不在が合理的アセット・プライシング理論で説明できる可能性を示すものである。
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