2010 Fiscal Year Annual Research Report
基地維持財政政策の変貌が地域経済に及ぼす影響に関する調査研究
Project/Area Number |
20530278
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
川瀬 光義 京都府立大学, 公共政策学部, 教授 (40195095)
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Keywords | 再編交付金 / 軍用地料 / 返還基地跡地利用 / 基地維持財政政策 |
Research Abstract |
本年度はまず沖縄市による東部海浜開発事業計画の見直作業について再評価をおこなった。「基地依存経済からの脱却」をめざす同事業に対しては「経済的合理性を欠く」などの理由により、公金支出の差止めを認めた判決が確定した。見直された計画もなお、過大な需要予測を前提としており、同事業をすすめることは、沖縄市の地域経済と財政の持続性を一層困難にし、かえって基地関連収入への依存度を高める可能性が高いことが明らかになった。この成果の一部は、日本地方財政学会で報告した。 第2に、基地受け入れの見返りという意図が明確な再編交付金事業の新規計上を見送った名護市における財政運営の変化を検証した。この資金を充当してすすめることを予定していた事業のほとんどは緊急性に乏しいこと、一部の緊急性を要する事業については他の補助金を活用するなどすれば、実施可能であることが明らかになった。このことは、基地に関連する財政収入への依存を脱却する貴重な礎になるといえる。また、名護市における第一次産業の再興をはかる諸施策がすすみ、さらにこれまで公共事業に依存してきた建設業界にも民需を開拓する動きが顕在化するなど、名護市における持続性ある地域経済構築につながる取組を発掘することができた。 第3に、日本の防衛予算における基地維持財政政策の史的展開を跡づける作業を行なった。普天間飛行場撤去の条件として沖縄県内への新基地建設が課題となって以降、基地維持のための財政支出の一部が広義の'思いやり予算'的な性格を色濃く有することとなり、防衛予算全体が抑制気味な中で特異な増加を示していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)