2010 Fiscal Year Annual Research Report
工業化・都市化のなかの乳幼児死亡と妊産婦:近代日本の農村と都市の比較
Project/Area Number |
20530306
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
友部 謙一 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (00227646)
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Keywords | 乳児死亡 / 主体均衡 / 工業化 / 都市化 / 家族経済 |
Research Abstract |
1) 基本的な統計データの収集と入力 明治末から昭和戦前期にかけての大阪市を中心として、その周辺農村部を含めた乳児死亡の分析を可能にするような乳幼児死亡(死産を含む)や妊産婦死亡のデータ収集とその分析目的のデータベース化を行なった。とくに、本年度特筆すべき点は、明治末から大正初期の短い期間ではあるが工業化を経験した都市部では妊産婦の栄養不良から来る脚気罹患とその授乳による乳児脚気罹患が増大したが、その因果関係を分析するための疾病資料・データ(脚気が中心)の収集とそのデータベース化を行った。また、戦前から戦後・高度成長期の日本の乳児死亡研究の泰斗であった丸山博博士(大阪大学)の未整理研究資料の提供を受け、その文書資料の整理と分類を行なった。A)乳幼児死亡関係:『大阪府統計書』『大阪市統計書』(大阪市)『帝国人口動態統計』、『乳児死亡の実態:岸和田市に於ける調査(昭和12, 13年)』(大阪府厚生会館、昭和19年刊行)、『都道府県別死因別死亡者数統計データベース』(友部作成公開)他 2) 分析と論文の作成 入力した資料データは、速やかに仮説検証型の分析(重回帰分析を含む)を施し、論文の作成を行った。そのペーパは、2011年10月開催される第1回東アジア環境史学会(台湾中央研究院)の報告論文(Infant mortality and beriberi in the city of Osaka between the wars : the impact of changes of mother's nutritional condition on infant health)として受理された。 3) 著書の発行 本研究期間に蓄積した統計データを最大限活用した乳児死亡分析を含む研究成果を『ワークショップ社会経済史』(共著、2010年10月刊行)の第III部「生活環境と市場経済からみる日本の歴史」にまとめ刊行した。
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Research Products
(3 results)