2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長瀬 勝彦 Tokyo Metropolitan University, 大学院・社会科学研究科, 教授 (70237519)
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Keywords | 意思決定 / 集団 / 事業撤退 / 実験 |
Research Abstract |
われわれは、「トロッコ問題」として知られる「多数の人の命を救うために手を下して、その結果として少数の人数の命を犠牲にすることは妥当かどうか」を問う問題における選択と回答のパーソナリティーとの関係を調べた。測ったパーソナリティーは「自己受容」「自己実現的態度」「充実感」「自己閉鎖性・人間不信」「自己表明・対人的積極性」「被評価意識・対人緊張」(以上、平石(1990))、「ローカス・オブ・コントロール」(鎌倉・樋口・清水(1982))、「認知的熟慮性/衝動性」(滝聞・坂元,1991)「楽観主義・悲観主義」(中村ら、2000)である。結果についてスピアマンの順位相関係数を示したのは、「自己閉鎖性・人間不信(rs=0.43)」「ローカス・オブ・コントロール(rs=0.37)」「認知的熟慮性(rs=0.31)」の3つであった。自己閉鎖性・人間不信が高いほど、ローカス・オブ・コントロールが強いほど、また知的熟慮性が高いほど、功利主義的な傾向(トロッコの進路を変更しようとする傾向)があるということになる。あえて解釈するならば、以下のようにまとめられるだろう。 1. トロッコの進路を切り替える行為を正当化するのは、5人の命と1人の命を単なる数字の大小に還元する功利主義的な価値観である。自己閉鎖性・人間不信が強い人の方がそのような割り切った考え方がしやすいのかもしれない。 2. ローカス・オブ・コントロールが強い人は、自分が何からの行為をなすことに強い価値を見出しているので、トロッコの進路を切り替えることに抵抗が少ないのかもしれない。 3. 自分の行為によってたとえ1人でも命を失うことは、感情的に抵抗感が強いが、認知的熟慮性が高い人は、その感情を皃抑えて功利主義的な結論に至りやすいのかもしれない。
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Research Products
(2 results)