2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本における多様な働き方を前提とした日本型ダイバーシティマネジメントの開発
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20530352
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
下崎 千代子 大阪市立大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (80135003)
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Keywords | 多様な働き方 / ダイバーシティ・マネジメント / テレワーク / ワーク・ライフ・バランス / 公平性 / 人事制度 / 在宅勤務 / 女性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本型のダイバーシティ・マネジメントの開発を目指すものである。多様な働き方は、就労者の多様化・雇用形態の多様化・勤務形態の多様化・就労形態の多様化と4種類の異なるものがあることは、筆者が従来から指摘してきたものである。就労者の多様化は、女性・高齢者・外国人・障害者など異なる属性の就労者の増大を意味する。そこで、女性や高齢者はワークライフバランスの実現が重要、外国人は日本企業のグローバル人材育成の確立が必要、障害者は法定雇用率の実現が必要である。雇用形態の多様化に対するマネジメントとしては、この10年間程度の人事制度の動向として、正規社員にはシェアリング化人事制度(雇用維持・賃金の業績連動・地位の成果連動)、非正規社員にはパーソナル化人事制度(有期雇用・職務給・専門化)が適用されていることが事例からも顕著である。勤務形態の多様化は、ワークライフバランス施策の導入とともに在宅勤務や短時間勤務制度等の多様化も製造業の大企業を中心に採用される傾向がみられる。パートタイム労働は、勤務時間の弾力性という意味ももつことから処遇格差等の課題を有しているが、多様な働き方を選択する就労者が選択的に就業しているという側面ももつ。就労形態の多様化は、非雇用的な働き方で、SOHO、士業、自己雇用、有償ボランティア等もNPOの普及とともに増大はしている。非雇用の場合は労働者としての保護の対象外となることから、法的な保護が必要だということが指摘できる。以上のように、日本型ダイバーシティ・マネジメントを統一的な方法として提示するところまでは展開できなかったが、日本型ダイバーシティ・マネジメントの方向については、本研究期間においてほぼ解明することができた。また、多様性が増大する中での公平性に関しても、Leventhalの提唱した手続き的公正の7つの構成要素の有無を活用することが有効であることを明らかにした。
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