2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530364
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
笹島 芳雄 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90187138)
|
Keywords | 役員報酬 / 生活賃金 / 最低賃金 / 公正賃金法 / 同一価値労働同一賃金 |
Research Abstract |
3年計画の第3年度(本年度)の研究において、前年度に引き続き、役員報酬制度とその運用の実態把握を推進した。また、生活賃金・最低賃金に関する研究、公正賃金に関する研究も推進した。本年度の研究の核となったのはニューヨーク市で実施した現地実情調査である。役員報酬に関しては、ニューヨーク大学の役員報酬に関する研究者、企業における報酬管理担当者、コーネル大学賃金研究所での専門家などから情報収集を実施した。アメリカでは、役員報酬と一般労働者との間の報酬格差が際立って大きいが、格差問題の理解を深める為には、低賃金労働者の賃金水準を把握する必要がある。その観点から、前年度に引き続き、最低賃金、生活賃金に関する実態把握も推進した。とくに、ニューヨーク市において同市の生活賃金運動を推進する機関を訪問し、情報収集を行った。さらに、「公正な賃金」はどうあるべきかとの観点に立ち、ニューヨーク市で公正賃金法の制定を求めるNPOに接触した。 高役員報酬に関しては、取締役会の機能不全の問題もあるが、能力の高い者が高い報酬を得ることは不自然ではなく立身出世を目指すというアメリカ文化に根差しているとの指摘、役員の労働市場の性格から発しているという指摘など重要な指摘を受けた。生活賃金に関しては、生活賃金の支給を求める対象を地方自治体との取引先及びその下請に限定していたのが、地方自治体とは直接的な関係を持たない企業に雇用される労働者にも適用する法律の制定運動を知ることができた。さらに公正賃金に関しては、カナダ、ヨーロッパとは異なりアメリカでは同一価値労働同一賃金の法律上の実施がかなり困難である背景を探ることができた。研究成果の内容の一部に関して、2010年11月には公契約条例プロジェクト・江東の主催による「公契約を考える連続学習会」において報告した。
|
Research Products
(4 results)