2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530449
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
城本 るみ 弘前大学, 人文学部, 教授 (60302014)
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Keywords | 台湾 / 高齢者福祉 / 外国人ヘルパー / 高齢者ケア施設 / 在宅介護 |
Research Abstract |
1.台湾社会では収入や社会的地位の低い介護労働の分野においても、すでに外国人労働者のマンパワーが大きな存在となっている。1992年の正式受入れ開始からすでに18年の雇用実績を有し、二国間協定を利用しながら外交政策として外国人介護労働者の受入れを進める台湾では、現在外国人労働者全体の約半数(2010年時点で約18万人)が介護分野での就労となっている。 2.台湾における外国人介護労働者は95%が個人雇用による家庭内就労であり、施設雇用はわずか5%に過ぎない。これは公立施設が外国人労働者を雇用しておらず、外国人を雇用している施設においてもヘルパー全体の半数を超えないことが義務付けられていること、また台湾では在宅介護が高齢者福祉の柱とされているからである。 3.施設においては本国で看護師資格をもっていても台湾では単純介護業務しか任されず、またヘルパーとしての技能訓練が不足したまま雇用される等の介護技術的問題や、家庭内雇用では雇用主からの虐待や言語習慣上のトラブル報告も少なくない。しかし言語・宗教・習慣上のギャップが最も少ないと考えられる中国大陸からの労働者受入れを台湾政府が拒んでおり、「大陸花嫁」という形をとった単身高齢者の実質的介護要員が近年は増加傾向にある。 4.台湾の介護市場は「自国人材の不足を外国人で補う」状況にあり、外国人介護労働については買い手市場的側面が強く、雇用者側の立場が強い。台湾政府は非営利団体の運営する介護センターや通所ケアサービス分野へも規制緩和によって外国人雇用の拡大方針を新たに打ち出しているが、行政側は自国ヘルパーの育成状況が改善されるまでの一時的措置として考えているとみなす向きが強い。
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Research Products
(1 results)