2008 Fiscal Year Annual Research Report
災害復興過程における地域内社会諸関係の再認識・再構築
Project/Area Number |
20530457
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松井 克浩 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (50238929)
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Keywords | 災害復興 / 地域づくり / コミュニティ / 町内会 / 防災 |
Research Abstract |
今年度は研究初年度として、すでに収集してある新潟県中越地震・中越沖地震関係の調査資料の分析を行うとともに、主として中越沖地震被災地である柏崎市および能登半島地震の被災地である石川県輪島市・穴水町で予備調査を行った。 柏崎市では、主として北条コミュニティ、北鯖石コミュニティ、松美町内会の3ヶ所で聞き取りと資料収集を行い、中越沖地震以前の地域づくりの様子、地震時の町内会・コミュニティの対応、地震後のコミュニティの新たな取り組みについて調査した。 その結果、地震時に機能したコミュニティの特徴として、次のことが分かった。1)町内会や班といった「小さい単位」を重視し、それとコミュニティレベルとの連携をはかっている。2)地震以前からの日常的な地域活動が盛んで、結びつきが強い。3)防災のための組織づくりにおいても、それぞれの地域に応じた工夫を凝らしている。4)地域をよく知るリーダーが自信をもってりーダーシップを発揮している。5)中越沖地震の経験を、いずれも地域の将来のために活かそうとしている。地震でその価値を再認識した地域の関係や絆を見つめ直し、それをあらたな地域づくりにつなげていく具体的な取り組みが始まっている。 これらの知見、およびこれまでに収集した中越地震関係の調査データを元に、共著『防災の社会学-防災コミュニティの社会設計に向けて』(東信堂,2008年)を執筆した。また市民や防災関係者を対象とした防災セミナー「まちづくりの転換と防災コミュニティ」(2009年3月,仙台市)で講演し、調査結果を社会に還元した。
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