2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代ヨーロッパにおける民族・人種間コンフリクトの多角的研究
Project/Area Number |
20530462
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
レヴィ アルヴァレス C Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (80284123)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 宗鳳 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (10334450)
材木 和雄 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (70215929)
中坂 恵美子 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (20284127)
|
Keywords | 人種差別 / 移民・難民 / コミュニティー / 国際研究者交流 / ヨーロッパ / セルボ=クロアチア / フランス / アイルランド |
Research Abstract |
本研究は、現代先進社会を理解する上で不可分の構造的要因にまで発展してきた移民・難民問題をはじめとする民族間・人種間対立を対象とし、次のことを目標とした。すなわち、(1)この10年間のヨーロッパにおける「移民・難民」と「マイノリティー」研究の動向を明らかにし、その代表的な著書を精読し現地での議論を整理した上で、(2)個々の事例研究(調査)を通じていくつかのマイノリティー集団(難民・移民・宗教的・人種的マイノリティ)の形成・変貌過程について独自のデータを作り、「他者」を「問題」と見なしつつある最近の一般認識の成立・拡大過程を多面的に吟味する、以上の2点である。それぞれの「マイノリティー集団」の形成と存続自体を理解するためには、かれらの「戦略」、国民社会からの運動と動き、国や国家間の政策の検証が必要となる。 本年度は各員がヨーロッパの国・地域を事例とし、その事情を調査した。フランスでは2005年の暴動によってマグレブ・アフリカ出身移民の若者の間に深い絶望と無力感が抱かれていることが明らかになったが、レヴィアルヴァレスは学業不振に陥り非行に走る青少年を研究する現地の著明な研究者とともに、教育政策と実践の視点から、即ち学校(制度)の統合能力とその可能生を検討した。中坂恵美子は、ヨーロッパにおける人種差別問題への取り組みをヨーロッパ人権裁判所資料およびEU資料等、また、EU機関のEU基本権庁におけるインタビューを通じて調査した。町田宗鳳は、イギリスとアイルランドが包括和平合意に達した1998年以来、辛うじて停戦が実現している北アイルランドでの国民和解の実態を調査した。材木和雄は、クロアチアにおけるセルビア系住民とクロアチア系住民の対立の現状と和解の方策の模索を現地において調査を行った。また、われわれの研究に助言をもらうためフランス法務省のショケ氏を招き、意見交換も行った。
|
Research Products
(3 results)