2010 Fiscal Year Annual Research Report
賃労働社会の起源と展開に関する知識社会学的研究--非労働の意味転換をめぐって
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20530469
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
宇城 輝人 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (60381703)
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Keywords | 都市化 / 社交 / 社会的なもの / 単身者主義 / 外食 |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は、昨年度の成果(「場所闘争のためのノート」、『VOL Lexicon』所収の「都市への権利」)を補完する研究成果を発表することができた。本研究が「郊外」問題として取り扱う社会的なものを具体化する装置としての「都市空間」は、ヨーロッパにおける中世以来の都市/農村の対立図式のなかで構想され展開されている。郊外はその狭間に産み落とされる人工的な居住空間である。ところで、日本の都市空間の成り立ちはヨーロッパのそれとどれほど同じでどれほど違うだろうか。違うとすればその歴史的由来はどのようなものか。そのような比較社会学的な関心から、本研究を補完すると同時に、今後の研究の展望をえるべく、日本の都市の特性について研究を行い、その成果を公表した(『フラット・カルチャー--現代日本の社会学』所収の「ひとりで食べるひとたちの場所」)。日本的都市の特性を考察するために、都市における日常生活なかんずくその中核である「食」の形態に焦点をあてた。かって神島二郎が日本の民主主義の脆弱さの一因として指摘した「単身者主義」の洞察を踏まえ、都市という場所において都市性(都市的社交)と都市化が矛盾してゆく様の、日本的展開を素描した。この研究は、欧米的な枠組みで構想される「都市」が日本の都市空間構成、社会編成のなかに移されるときに生じる歪みあるいはずれを把握する視点の基礎がための段階のものであるが、その比較社会学的視点から日本的都市の特性を示唆できた点は特筆すべき意義があると思われる。
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Research Products
(1 results)