2010 Fiscal Year Annual Research Report
時間資源配分と生活の質との関連をめぐる社会学的研究
Project/Area Number |
20530476
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤村 正之 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00190067)
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Keywords | 生活時間 / QOL / ワーク・ライフ・バランス / ライフスタイル |
Research Abstract |
生活の質の向上とも関連して希少資源たる時間の価値が浮上している現代日本で、個人と家族の生活の基本的分析要素であった「貨幣と消費」に対比して「時間とその配分」を重要な変数と考え、それをめぐるライフスタイルの実態や諸属性ごとの差異、社会心理の解明を目的として研究を進めた。3年間の研究において、(1)基礎理論研究としての「時間の社会学」「生活の質」の文献研究、(2)家計経済研究所の家計・消費行動に関する2次データの分析、(3)「生活時間と生活の質の関連に関する調査研究」の調査票調査の実施・分析を行った。このうち、最終年度においては特に(2)(3)を精力的に進めた。 (2)については、家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」の2005年データを借り受け、諸属性ごとの生活時間配分の差異(未婚・既婚、無職・有職など)、仕事時間・家事時間・自由時間と諸変数との関係について2次分析を行った。 (3)については、2009年10月~11月に「生活時間と生活の質の関連に関する調査研究」を全国対象の郵送調査として実施、1200票配票・660票(回収率55.0%)の回答を得た。調査の大項目としては、家族構成など属性要因、生活時間の全体配分、仕事内容や労働時間、家事内容や家事時間、余暇行動や自由時間、消費行動、生活意識・社会意識などを尋ね、今年度は属性要因ごとの生活時間配分、仕事・家事・余暇の時間使用と諸変数の関係について分析を行った。 (2)(3)の実証研究より、限定された24時間という時間がまず仕事と家事に振り分けられ、残りの時間から諸行動が派生するという構造が強固であること、仕事時間では性別の、余暇時間では性別・世代の影響が強く、家事時間では個別の行動内容ごとに属性差異のあることなどが確認された。(2)(3)の分析結果は紙媒体の研究報告書としてまとめている。本研究で得られた知見は、ライフスタイルの拡充やワーク・ライフ・バランスの現実的なあり方を考える際の基礎的な資料として意義の高いものと考えている。
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Research Products
(1 results)