2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530486
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷 正人 Waseda University, 文学学術院, 教授 (40208476)
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Keywords | ポストモダン / テレビドラマ |
Research Abstract |
今年度は、研究成果を報告するための場所が与えられたために、研究に飛躍的な発展があった。雑誌「GALAC」(放送批評懇談会)に「敗者の想像力-脚本家 山田太一」を連載中であり、すでに8回分を発表した。いまのところ、1960年代の前衛的芸術運動(寺山修司を中心に置いている)に対して「後衛的」位置にいる山田太一のドラマという議論を展開しているために、ポストモダン社会の問題は出てこないが、60年代の萩元晴彦や村木良彦と今野努と寺山修司が仕掛けた「テレビとは何か」を問うテレビ番組のありようが、その後の萩本欽一、『ひょうきん族』、『元気が出るテレビ』、『電波少年』といったポストモダン的なテレビ番組の名作を生む最初の一歩として考えたとき、ポストモダン的なテレビの歴史的位置付けがより明快に見えるということが明らかになってきたと思う。これは大きな収穫だった。山田太一という脚本家を中心におきながらも、テレビとは何かというメディアの根源的なありようについて考えていくヒントを得たよう思いがした。前衛を追い求めながらも、テレビが私生活の領域で見られるメディアであるということ。その公性と私性の離反こそが、山田太一の作品のテーマであり、テレビのテーマなのだと思う。それを70年代の山田太一作品から浮かび上げる作業を進行させている。そのためインタビューなどの調査の予定が変わって、60年代-70年代の様子をさままざな回顧録を通して調べることを中心的な研究方針とした。
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Research Products
(6 results)