2008 Fiscal Year Annual Research Report
子育て支援策の国際比較のための基盤研究-チャイルドウェルビーイングの視点から
Project/Area Number |
20530517
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
所 道彦 Osaka City University, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (80326272)
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Keywords | 社会保障 / 児童福祉 / 児童手当 / 保育サービス / 国際比較 / 子どもの貧困 |
Research Abstract |
少子化を背景に、わが国では子育て支援のための様々な施策が実施されているが、その特徴と水準を明らかにするためには、国際比較が必要となっている。そこで、本研究では、子どものウェルビーイングの国際比較研究のインデックスを設定するための基盤研究を行うこととし、これまでの子育て支援策に関する国際比較研究について、各国の社会的・文化的・経済的・政治的背景を踏まえた上で問題点を収集・整理し、家族政策の比較研究の「質的な」転換を図ることを目的とする。平成20年度は、先行研究が明らかにしたものを整理し、体系化する作業を行った。特に、明らかになったのは、以下の3点である。(1)チャイルドウェルビーイングの概念が複雑で、依然として共通した定義がないという点である。海外の研究動向としては、経済的なものだけでなく住環境や学校など生活全体を把握する必要性、環境などを固定的に捉えるのではなく、その環境と主体たる子ども自身との関係・相互作用に焦点を当てる必要性、客観的な指標だけでなく子ども自身の主観的な指標に焦点を当てる必要性が認識されている点が確認された。第二に、しかしながら、上記の要素を含めた比較尺度を開発する上での課題が多いことである。例えば、ユニセフの研究では、material well-being, health and safety, education, peer and family relationships, subjective well-being, behavior and riskの6領域が設定され、所得、住宅から学校生活、食生活まで40の指標が設定されているが、その妥当性については検討が必要である。(3)「子ども」の年齢差をどう扱うかが課題となっている。特に、年少の子どもに関するデータが不足している。これらの課題については、21年度代案を含め検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)