2011 Fiscal Year Annual Research Report
被虐待児の養育支援における包括的心理コンサルテーションシステムの開発
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20530533
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
加藤 尚子 明治大学, 文学部, 准教授 (00307977)
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Keywords | コンサルテーション / 児童虐待 / 養育支援 / 児童養護施設 / コミュニティ・アプローチ |
Research Abstract |
本研究は,被虐待児の養育支援を行う児童養護施設における包括的心理コンサルテーションシステムの開発の開発を目指すものである。本年度は,(1)児童養護施設における包括的コンサルテーション介入実践,(2)養育支援という観点からの児童養護施設におけるコンサルテーションの機能分析,(3)心理コンサルテーション機能測定尺度の改訂,(4)巡回型地域コンサルテーションの機能的側面の検討,を行った。(1)について,これまで得られた仮説に基づき,実際の児童養護施設において包括的なコンサルテーション介入を試みている。個人コンサルテーション,グループコンサルテーション,システムへの介入等,複数の介入方法を試みている。結果については,2012年度に分析,検討予定である。(2)について,これまで得られたデータに基づき分析し,コンサルテーションにおいては「組織との関係調整」機能が,職員の情緒的消耗感や脱人格化を低め個人的達成感を高めることが明らかとなった。子どもと職員との養育関係形成を支援するためには,職員関係や組織との関係に着目したコミュニティ・アプローチの発想に基づく支援が有効であることが示唆された。また,その分析の過程において,質問紙の改訂を行った(3)。結果については論文にまとめ,現在『心理臨床心研究』に投稿中である。(4)について昨年度に引き続き,入所型施設養育におけるコンサルテーション機能と保育所等地域子育て支援機関における心理コンサルテーション機能との比較を行うため,調査を行った。結果については現在集計中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
児童養護施設における養育支援(子どもと職員との関係形成支援)として,コンサルテーションにおける組織との関係調整機能が有効であることが明らかとなり,包括的コンサルテーションシステムを構築する際の核となる着眼点が明らかとなった。また,入所型の養育支援におけるコンサルテーション機能の特徴を明らかにするための比較として必要となる,地域の子育て機関におけるコンサルテーション機能に関する調査も順調に継続している。実際の児童養護施設におけるコンサルテーション介入実践も行っており,包括的コンサルテーションシステムの検討のために必要な研究成果の積み上げ及び調査,フィールド等の研究環境とデータは十分用意されている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は,児童養護施設における養育支援(子どもと職員との関係形成支援)として,コンサルテーションにおける組織との関係調整機能が有効であることが明らかとなったことをふまえ,職員関係と組織関係の調整を念頭に置いたコンサルテーション介入を展開する。その成果について,グループフォーカスドインタビューを行い,内容を検討する。また,地域の子育て機関におけるコンサルテーション機能との比較及び介入成果の分析を加え,包括的コンサルテーションシステムの検討を行う予定である。
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