2008 Fiscal Year Annual Research Report
大都市の貧困・低所得層の生活問題と社会的排除に関する研究
Project/Area Number |
20530538
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 一郎 Hosei University, 現代福祉学部, 助教 (30459961)
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Keywords | 社会福祉関係 / 貧困 / 社会的排除 / 生活問題 |
Research Abstract |
1990年代以降の日本社会において、大量失業、労働者の非正規化、働く貧困層(ワーキングプア)などの社会問題が現われ、個人や家族の生活問題を引き起こし、既存の政策枠組みでは対応に限界があることが露わになっている。他方で、家族関係の崩壊、社会関係・人間関係からの排除などの問題群がある。アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、児童虐待、ドメスティックバイオレンスは、その例といえる。現代の貧困・低所得問題は、複雑化・多様化しているため捉えにくくなっており、実証的アプローチが必要となっている。本研究の目的は、現象する問題群の中でも、現代日本における大都市の貧困・低所得層(とりわけ日雇労働者、野宿者、ネットカフェ生活者等、低所得リスクを抱え住居不安定化を被っている層)が抱える生活問題と社会的排除の状況および基本構造を実証的に明らかにし、社会福祉の課題を探ることである。 本年度は本研究事業の初年度であり、まず、研究目的に即して、貧困・低所得および社会的排除に関する国内、国外の先行研究、関連する研究の文献研究を行った。特に、なぜ日本では欧米に比べ、1980年代以降、貧困が再発見されることが少なかったのかという問題意識のもとに行った。その上で、第2に、過去に実施した法外援護給付利用者に関する調査結果の精査および再集計等による分析を行った。第3に、横浜市の担当職員、自立支援センター職員および利用者、アルコール依存症・ギャンブル依存症リハビリ施設の職員および利用者、および寿町の住民にききとり調査を行うとともに、資料収集を行った。第4に、2007年度より東京都および神奈川県で実施しているネットカフェ生活者調査を引き続き行った。第5に、2009年度における調査準備を行った。
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