2010 Fiscal Year Annual Research Report
大都市の貧困・低所得層の生活問題と社会的排除に関する研究
Project/Area Number |
20530538
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 一郎 法政大学, 現代福祉学部, 助教 (30459961)
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Keywords | 社会福祉関係 / 貧困 / 社会的排除 / 生活問題 |
Research Abstract |
本研究は、現代日本で現象する問題群の中でも、大都市の貧困・低所得層(とりわけ日雇労働者、野宿者、ネットカフェ生活者等、低所得リスクを抱え住居不安定化を被っている層)が抱える生活問題と社会的排除に焦点をあてている。大都市の貧困・低所得層は、労働形態や居住形態の不安定性により、貧困状態が持続していることがマスメディア等で指摘されているが、先行研究をみると貧困であるにも関わらず研究の対象から外れてしまうことが多く、必ずしも十分な調査・研究がなされているとはいいがたい状況である。そこで本研究では、大都市の貧困・低所得層の生活状況および基本構造を実証的に明らかにし、社会福祉の課題を探ることを目的とした。 本年度は本研究事業の最終年度である。前年度に続き、研究目的に即して、貧困・低所得、社会的排除、および住居不安定層に関する国内、国外の先行研究、関連する研究の文献研究を行った。特に、なぜ日本では欧米に比べ、1980年代以降、貧困が再発見されることが少なかったのかという問題意識のもとに行った。 その上で、第1に、法外給付利用者、シェルター利用者、生活安定化総合対策事業利用者に関する調査結果の精査および再集計等による分析を行った。第2に、横浜市の担当職員、および寿町の住民にききとり調査を行うとともに、資料収集を行った。第3に、神奈川(主として横浜)の住居不安定層における戦前戦後の貧困対策の変遷について資料を収集し検討した。第4に、貧困・低所得に密接に関わる大都市の関係機関において実態調査を行った。 以上の調査および研究の結果は、博士(社会福祉学)学位論文(2011年2月刊行)を始めとして、雑誌論文、学会等で公表した。
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