2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530558
|
Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
西尾 敦史 Okinawa University, 人文学部, 准教授 (40389721)
|
Keywords | 介護保険 / 地域密着型サービス / 小規模多機能型居宅介護 / 宅老所 / グループホーム / 日常生活圏域 / 高齢者住宅 |
Research Abstract |
沖縄県内の「小規模多機能型居宅介護」の事業所調査、フィールド調査、労働者調査を実施した結果、以下の知見および政策インプリケーションが得られた。 1、沖縄県内の小規模多機能ケアの事業所調査 沖縄の小規模多機能は、全国一給付費が高く、「その人らしい暮らしの維持」を願い、比較的重度の利用者のケアを行っている。その中で、利用者の主体性を重視し、尊厳ある暮らしの維持のため、「利用者の思いに共感し、思いを受けとめられる」よう、生活の落差のないケアに取り組んでおり、特に一人(単独)世帯の利用者が多く、家族介護力を支え、補完する貴重なサービスになっている。 2、宅老所(非制度の地域密着型ケア資源)の労働者調査 沖縄の宅老所は、おおむね小規模の事業所で、職員の定着率は比較的高く、離職率も低い。 職員の定着促進策は積極的に取り組まれている。NPOや小規模事業所において、働き手相互の、あるいは利用者との円滑なコミュニケーション、経営方針・ケアの理念が共有できていることが、離職率の低さにつながっている。人と人との基本的なつながり(なじみの関係)を重視するケアは、働く場を共同のコミュニティとして運営していく方向にもつながっている。小規模事業所の限界や課題に対して、共同(連絡会)による人材育成を行う必要性が見出された。 3、宮古島市の地域密着型サービス(小規模多機能ケア)のフィールド調査 利用者個人と環境との相互関係(PIE)の視点から、とくに(1)利用者の主体性を重視した「食」と「外出」の支援、(2)家族介護力の肯定的側面への支持、(3)生活空間の意識化、(4)アイデンティティの器としての地域文化の尊重、を特徴的な要素として析出した。その機能を高める自治体政策の役割として、(1)日常生活圏域の設定、(2)市町村合併による余剰施設の活用、(3)「地域介護・福祉空間整備等交付金」の活用が特徴となっている。
|