2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530574
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
福野 光輝 Yamagata University, 人文学部, 准教授 (30333769)
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Keywords | 社会心理学 |
Research Abstract |
公共事業において社会全体の利益を追求する行政と、それによってさまざまな負担を強いられる地域住民との利害対立をどう調整すべきかは重要な問題のひとつである。こうした利害対立は、地域住民側のマイクロ公正判断と行政側のマクロ公正判断の不一致ととらえることができる。本研究の目的は、利害対立時に人々がおこなう2つの分配的公正判断(マイクロ公正とマクロ公正)を区別し、公共事業紛争の解決をうながす鍵と考えられるマクロ公正判断の過程とその規定因を検討することである。具体的には、集団同一化の程度がマクロ公正判断を促進するかどうかウェブ調査を実施した。本ウェブ調査では全国10都県(上北海道、宮城県、東京都、新潟県、岐阜県、大阪府、広島県、愛媛県、福岡県、沖縄県)の成人を対象に2,000名のデータを得た。本調査では(a)回答者の居住地域への同一化の程度、(b)公共事業紛争の原因に関する認知(対立構造の認知)、(c)紛争当事者の利害関心に関する回答者の認知(利害関心認知)を測定した。対立構造の認知に関する質問は、公共事業紛争の特徴に関する評価であり、公共事業をめぐる行政と地域住民の対立にはどのような特徴が含まれているか、これまで指摘されてきた紛争構造の認知次元(Gelfand, Nishii, Dyer, Holcombe, Ohbuchi, &Fukuno, 2001 ; Pinkley, 1990)をもとに項目を作成し回答をもとめた。利害関心認知の質問では、第三者の視点から紛争当事者の利害関心を評価してもらった。その際、Brickman, et.al.(1981)の指摘した3つのマクロ公正原理を公共事業紛争に則して項目化してたずねた。また、ウェブ調査を実施する一方で、場面想定法をもちいて対人葛藤の解決における第三者の判断過程を探索的に検討した。その結果、第三者の立場から解決策を提案する場合、人々は当事者の個別の事情を考慮して衡平な解決を図ろうとするより、平等な解決策を用いようとする傾向が宝あった。
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Research Products
(2 results)