2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530620
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
水野 薫 Fukushima University, 人間発達文化学類, 教授 (20375348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 智 共立女子大学, 家政学部, 講師 (10458862)
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Keywords | WISC-III知能検査法 / 発達アセスメント / 再評価間隔 / 発達障害 / 広汎性発達障害 / 多動性障害 |
Research Abstract |
1 研究の目的と方法 発達障害の子どもの日本版WISC-IIIの練習効果ついて調べ, 再評価間隔の妥当性を検討した。発達障害を専門とする医療機関, 指導・教育機関にアンケートを実施し, 137名のWISC-IIIデータを収集した。 2 結果と考察 収集データを, 再検査間隔により3群に分けた。(1)1年未満で再検査した群(N=27)では, IQ値, 群指数値が平均で7.5〜10.2点有意に上昇していた。(2)1年以上2年未満の群(N=71)では, 言語性IQ(VIQ)に有意な変動はみられなかったが, 動作性IQ(PIQ), 全検査IQ(FIQ)が4.0〜5.0点有意に上昇していた。(3)2年以上3年未満の群(N=39)では, ほとんど変動は見られなかった。また, 全てのIQ, 群指数において再検査間隔と得点の変動に有意な相関関係がみられた。 このことから, 1年以内にWISC-IIIを再実施することは避けるべきであり, 1年以内に実施することが必要な場合は, 練習効果を考慮して, 検査結果を解釈していくことが必要であると示唆された。 3 研究の成果と今後の課題 多くの臨床家が実感していた再評価による練習効果を実証することができた。このことにより, 発達障害児へのWISC-III知能検査法の再評価に関しては, 2年以上の間隔を空けて実施することが望ましいことが裏付けられた。発達障害臨床, 特別支援教育の発展に寄与できると考える。 今後は, 障害間比較, 解釈の妥当性を高めるための行動観察システムの開発と実用化, 他の評価法を用いた(DN-CAS認知評価システム)信頼度の確認を行い, 臨床・教育活動への応用を追究する。
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