Research Abstract |
児童・生徒にとってもっとも大きく身近にある内在化・外在化問題行動のリスク要因および保護要因として,本年度は在席する学級でのポジティブな相互作用の程度を測定する尺度を作成した(α.=73-93)。 学級でのポジティブな相互作用が,どのようにうつや不安に影響するかを713名の中学1年生生徒を対象として,time1(4月),time2(5月),time3(7月)に上記尺度とともに,Kiss-18,SLST,自尊感情尺度,DSRS,STAI-Yを実施し,前のtime測定から後のtime測定結果を重回帰分析で予測した。男子においては,time1のうつ得点(β=.57^<**>)とtime2の1つの下位尺度得点(β=-.28^<**>)が,time3のうつ得点を予測した(R^2=.53)。また,time1の不安得点(β=.57^<**>),1つの下位尺度得点(β=-.23<**>),time2の1つの下位尺度(β=-.40<**>)が,time3の不安得点を予測した(R^2=.50)。女子においては,time1の1つの下位尺度得点(β=-23<**>),time2の1つの下位尺度得点(β=-.27<**>)とSLSTの学校不適応得点(β=.61<**>)がtime3のうつを予測した(R^2=.71)。また,time1の不安得点(β=.49<**>),time2の2つの下位尺度得点(それぞれβ=-.33<**>),.23<**>)がtime3の不安得点を予測した(R^2=.66)。 学級でのポジティブな相互作用を促進させることが,保護要因を高めることが実証された。この成果を,アイルランドで開かれた31st World Conference on Stress and Anxiety Research Galway Irelandで発表した。外在化問題行動に関する分析は今後の課題とされた。
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