2009 Fiscal Year Annual Research Report
少年鑑別所在所少年の再犯に対する社会環境と個人属性の相互作用
Project/Area Number |
20530637
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
遊間 義一 Hyogo University of Teacher Education, 学校教育研究科, 教授 (70406536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 雄一郎 筑波大学, システム情報工学研究科, 教授 (50233854)
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Keywords | 少年鑑別所 / 再犯 / 階層的母集団分割生存分析 / 親への愛着 / 完全失業率 |
Research Abstract |
平成21年度における研究では,前年度に行った,親への愛着の再犯に対する抑止効果に対する地域社会の完全失業率の影響に関する研究の結果が,Hirsch(1969)の社会的統制論及びCantor & Land(1985)の理論の予測と一致しなかったことを受けて,以下の二つの研究を行った。 1)Cantor & Land(1985)の理論そのものの日本における適用可能性を彼らの主張する形で検証する必要から,日本の戦後の少年非行の発生率と完全失業率の関係について時系列分析を行った。その結果,完全失業率は非行発生に対して,長期的には促進的に機能し,短期的には促進・抑制いずれの効果もないことが見いだされた。 2)完全失業率に代えて,より犯罪促進的効果が大きいと予測される地域社会の犯罪発生率を用い,これの親への愛着の抑止効果に対する影響を検討した。サンプル及び解析手法は,平成20年度と同様であり,1991年に日本全国の少年鑑別所に初めて入所した少年6238名を対象として,individual logit/log-normal split population model(階層的母集団分割生存分析)を用いた。その結果,犯罪発生率の高い地域では,愛着が強いほど,再犯確率は上昇することが示された。この結果も必ずしも理論的な予測と一致しない。 以上の二つの研究は,1)時系列分析によれば,完全失業率の非行に対する効果は,Cantor & Land(1985)の予測とは必ずしも一致しておらず,したがって,日本に適用する場合には,研究時の日本の状況に合わせた修正が必要であること,2)犯罪発生率と親への愛着の相互作用を予測する際にも,社会的統制論は有効でないことを示唆を示している点で今後の研究に対して重要な知見を提供している。
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Research Products
(2 results)