2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530652
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
西村 喜文 Nishikyushu University, 健康福祉学部, 教授 (40341549)
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Keywords | 臨床心理学 / 心理アセスメント / コラージュ技法 |
Research Abstract |
本研究は、申請者の心理臨床経験にもとづいて、健常な乳幼児から高齢者までの各発達段階のコラージュ表現について、形式、内容、印象などの側面から多角的に検討し、各年代の発達的特徴について考研し、その結果が健常な発達内容をとらえるアセスメントとして定位されることをねらいとしている。 平成21年度は、20年度に収集した乳幼児から高齢者2500名のコラージュ作品のうち、乳幼児375作品、小学生370作品、中学生279作品、高校生403作品、大学生53作品、計1480作品を印象面から分析を行い、各年代におけるコラージュ表現の特徴を明らかにした。その結果、形式分析、内容分析と同様各年代におけるコラージュ表現の変化がみられ、各年代における表現特徴がみられた。とくに乳幼児では、3歳以降作品の印象に変化がみられ、女児が安定性や表出性の高い作品がみられた。小学生において5年生以降安定性のある作品がみられ女子の方が顕著にみられた。中学生、高校生においても印象面において性差がみられ女子の方が安定性、表出性の高い作品の傾向がうかがえた。また、男子においては、女子より創造性の高い作品を作る傾向がうかがえた。以上のことより、コラージュ表現の発達的特徴について明確にすることは、コラージュ療法が各年代におはる内面を統一的に理解できる素材であり、コラージュ作成者の内的世界を理解する手ががりになり、発達心理学的にも大きな意味があるととらえられた。 また、健常な乳幼児から高齢者まで幅広くコラージュ作品を収集し数量的分析を行うことは、コラージュ作品を通して人間理解にも役立つもので、アセスメントとしてもとらえることができると思われた。
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