2009 Fiscal Year Annual Research Report
単純接触効果研究の新たな展開を可能にする基盤的研究
Project/Area Number |
20530657
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊地 正 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80161420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 富二雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80182781)
綾部 早穂 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (40323232)
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Keywords | 単純接触効果 / 潜在的態度 / 高次認知機能 / マルチモーダル |
Research Abstract |
平成21年度の研究は,実施計画に沿って次の3つのアプローチでおこなった. 1.潜在的な単純接触効果測定課題の開発感情サイモン課題を採用した反応時間計測による単純接触効果の測定を試みた.感情サイモン課題では刺激の感情価と反応の感情価との適合性を操作することで真の好意度を測定しようとするものである.実験1では,二字熟語の接触回数を操作し,実験2では,新聞等での出現頻度の高低を接触頻度の高低とみなして,反応時間による単純接触効果の測定を試みたが,有意な効果を発見できなかった.実験2では,通常の方法では単純接触効果が見出されたにも関わらず,感情サイモン課題では測定できなかった.この結果は,単純接触効果は接触した刺激への好意度が実際に高まるのではなく,単に好意的に反応する傾向が増すにすぎない現象である可能性を示唆するものである. 2.高次認知機能の単純接触効果に及ぼす影響イメージ形成による単純接触効果を測定した.一度に刺激全体像を提示する通常の提示方法ではなく,部分像の観察を通して内的に形成させたイメージ像に対して単純接触効果が生起するか否かを検討した.小さな円形の可視窓をマウスの操作によって移動させ,可視窓を通して観察した部分像から全体像をイメージさせた.実験の結果,探索領域の約10%の可視窓の場合に,有意な単純接触効果が認められた.この結果は,単純接触効果が必ずしも刺激全体を一度に観察する必要がなく,イメージ形成という高次の認知機能が単純接触効果に関与していることを示すものである. 3.視覚以外のモダリティにおける単純接触効果の測定快不快度が中程度のハーブ等を用いてニオイの知覚的経験頻度(1,5,10回)がその後のニオイに対する快不快度に及ぼす効果を検討した.その結果,経験したニオイは経験しなかったニオイよりも快方向に評定された.特に5回接触のニオイの快不快度は10回接触よりも大きく快方向に変化した.繰り返しによる飽きの感覚が影響した可能性が示唆された.
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