2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530669
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
吉村 浩一 Hosei University, 文学部, 教授 (70135490)
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Keywords | 感覚・知覚 / 知覚順応 / 変換視研究 / 左右反転 |
Research Abstract |
これまで、小学生に左右反転めがね着用を求めることは難しかった。本研究プロジェクトでは、成人ではなく、知覚機能が柔軟、あるいは未完成な小学生が逆さめがねを着用したときの混乱と対応ストラテジーを系統的に収集することが大きなねらいである。 本年度は、二度の機会を確保し、それぞれ90名程度の小学生の着用時のデータ収集を実現した。まず、2008年6月1日に、広島市江波山気象館での科学イベントで、左右反転めがねを着用して歩行したり対象物に向かい手でのリーチングを行った。そうした課題遂行時の動作をビデオ記録するとともに、オノマトペという小学生に親しみやすい表現法で、逆さめがね体験の主観的印象の報告を求めた。二度目は、2008年9月15日に、東京学芸大学で開催された科学イベントで、今度は逆さめがねではなく、中を覗くと左右反転して見える箱と上下反転して見える箱の2種類の箱を用意し、それぞれの箱を覗いた状態で垂直ないし水平の線をトレースする作業を課した。実際に課題を行う前に、それぞれの覗き箱では、水平と垂直線のどちらのトレースの方が難しいかを予測してもらい、その予測が実際に作業を行ったとき裏切られることを体験した子どもたちが、その体験を、次(2種類目)の反転覗き箱での作業予測に生かせるかどうか、すなわち体験を通して適切な科学的推論をどの程度行えるかを計測した。その結果、90名のうち一つ目の箱で誤った予測(左右逆さの箱では、左右方向にまっすぐ進む方が難しいとの素朴な予測)をしていた子どもたちが高い割合で次に行う変換状況の開始に先立つ予測で適切な推論を行った。
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