2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530669
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
吉村 浩一 Hosei University, 文学部, 教授 (70135490)
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Keywords | 感覚・知覚 / 知覚順応 / 変換視研究 / 左右反転 / 科学教育 |
Research Abstract |
本年度は次の2つの逆さめがね体験会を実施した。 まず、2009年5月10日に味の素スタジアムで行われた障がい者と共生するためのイベントであるランフェスに参加し、逆さめがね着用体験会を実施し、小学生低学年を中心とする129名から上下反転めがね着用初期の行動的混乱と知覚印象データを収集することができた。 また、2009年9月13日に実施された「科学の祭典in小金井」(於東京学芸大学)において、「親子で体験、さかさまの世界」と題したブースを出し、90組の親子を中心とする着用者から、上下逆さめがね同時着用時の行動観察と知覚印象報告を収集できた。 これらは、小学生を中心とする子どもたちに科学的思考を促すために逆さめがね体験時の驚きと疑問を利用する目的で行った。前者では視覚障がいの模擬体験として逆さめがね着用を利用することの可能性、後者では親しい親子が同時体験することで、知覚印象を言語化しやすくできる可能性、したがって良質な言語報告データが得やすくなる可能性を検討した。前者に関しては、論文「視覚障がいを理解するための模擬体験としての逆さめがね着用」で発表し、後者に関しては2010年度に、展示学会の機関誌『展示学』に「研究ノート」として掲載する予定である。親子同時体験時のデータから読み取れる特徴は、終了後に尋ねた「印象に残った作業はどれでしたか?」との質問に対し、子どもは「ボールの転がし」など親子で協同・競争しながら行う作業をあげる傾向が強かったのに対し、親の方は、親子が別々に行う作業をあげる傾向があった。こうしたデータを通して、子ども中心の科学イベントに、親子で参加することの意義を読み取る研究を進めていきたい。
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