2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚刺激の3次元空間配置が視覚誘導性自己運動知覚に及ぼす効果の実験心理学的検討
Project/Area Number |
20530671
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
中村 信次 Nihon Fukushi University, 子ども発逹学部, 教授 (30351084)
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Keywords | 自己運動知覚 / ベクション / 視覚 / 運度知覚 |
Research Abstract |
本研究計画は、視覚誘導性自己運動知覚(ベクション)に及ぼす視覚刺激の3次元空間内での配置の効果を分析することにより、環境への行動的適応に必要不可欠な自己身体の空間的定位が、どのような知覚情報処理プロセスにより実現されているのかを解明することを目指す。本年度は、単に視覚刺激の呈示領域を操作するのみでなく、近年自己運動知覚の強力な促進要因であることが明らかとされているジター運動(ノイズ様のランダム運動)の関与が、刺激呈示の3次元的布置によりどのように変化するのかを検討した。12名の観察者が参加した心理実験の結果、視野の中心部にジター運動を呈示した場合に、視野周辺部にそれを付加した場合よりも、より強力な自己運動知覚が誘導されることが明らかとなった。この結果は、刺激提示の大きさ(面積)が均一であれば運動刺激呈示の離心度はベクション誘導に影響を及ぼしえないとした前年度の研究結果と対比をなしており、加速度運動を含むジター運動刺激によるベクション増強が、通常の(等速運動成分のみで構成されている)視覚刺激によるベクション誘発とは異なるメカニズムによることが示唆される。次年度は、研究計画の最終年度として、ベクションに及ぼす視覚刺激の3次元空間内での配置の効果に関するこれまでの心理実験の結果を取りまとめ、その効果を定量的に表現可能な心理学的モデルの構築を目指す。これにより、ベクションに大きな影響を及ぼすと考えられる視覚刺激の3次元空間内布置の問題に関し、統合的に検討を進める理論的枠組みを構築することが可能となる。
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Research Products
(3 results)