2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530700
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
北本 正章 Aoyama Gakuin University, 文学部, 教授 (10186273)
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Keywords | 子ども学 / 子ども観 / 子ども文化 / 発達 / 親子関係 / 社会福祉 / 捨て子 / 捨て子養育院 |
Research Abstract |
過去一世紀に及ぶ欧米の子ども観研究の成果と課題を再確認し、わが国における子ども学の基本カテゴリーの抽出と、子ども学の構成と展開の学術的基盤の再構成を試みることを目的とする本研究の初年度の計画は、第1に関連文献の渉猟、第2に現地調査、第3に専門研究会・学会等での研究情報交流である。第1については、ほぼ当初の計画通り、子ども学、子ども社会学、幼児教育学、子ども観の社会史、子ども文化史を中心に文献と資料収集をおこない、欧米の子ども観の社会史研究の概要を得ることができた。第2の調査は、今年度は特にイタリア・ルネッサンス期の捨て子問題に関する現地調査をおこない、ヨーロッパ最古の捨て子養育院の規模などを調査した。第3に、研究交流では、比較教育社会史研究会を中心に、子ども観研究会(青山学院大学)、児童文学研究会(白百合女子大学)などに参加し、有益な示唆を受けた。 以上の研究活動によって、初年度に設定していた子ども観の社会史研究の研究動向の論点整理をほぼ計画通り進めた。20世紀初頭から約一世紀にわたる研究動向を、第一期の非連続説の時代、第二期の連続説の時代、そして第三期の複合説の時代の三つの時期に分け、それぞれ詳細に検討した。その成果は、論文「子ども観の社会史研究における非連続と連続の問題-欧米におけるアリエス・パラダイム以降の諸学説にみる新しい子ども学の展開と構成」(青山学院大学教育学会紀要『教育研究』第53号、2009年3月18日刊、1〜41頁)と題して公表した。この成果は、子ども観の社会史の現時点での分水嶺を示すとともに、子ども学の構成と展開を考察する上で基礎的な論点と課題を展望している点で意義深いものである。
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Research Products
(1 results)