2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530700
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
北本 正章 Aoyama Gakuin University, 教育人間科学部, 教授 (10186273)
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Keywords | 子ども学 / 子ども観 / 比較教育社会史 / 家族史 / 教育学 / 年齢段階 / 学級制 / 学年制 |
Research Abstract |
過去1世紀に及ぶ欧米の子ども観の社会史研究の成果と課題を検討し、わが国における子ども学の基本カテゴリーの抽出と、子ども学の構成と展開の学術的基盤の再構成を研究課題とする本研究の第2年度の計画は、特に次の2点に絞ってすすめた。第1は、子どもの年齢段階の史的変容を小児医学史、人生段階の習俗史、および教育思想史の3分野から考察した。ここでは、子どもの年齢段階、人生段階論が歴史の中でどのように展開し、それが近現代以降の発達観と学校教育、とくに学級制と学年制の概念の導入にどのような影響を及ぼしたかを解明した。これらの成果は、論文「人生の諸時期の伝統と子ども期の年齢に関する比較教育社会史的考察」にまとめた。第2は、わが国における子ども学の展開をたどり、1980年が20世紀のわが国における子ども学的認識の大きな転回点であったことを明らかにした。ここでは、わが国における子ども学研究の学術的経緯を再検討するとともに、近年のわが国の大学再編に見られる「子ども学部」「子ども学科」の学術的基盤の脆弱さを明らかにした。これらの成果は、論文「子ども学の基礎概念に関する教育認識論的考察」にまとめた。ほかに、世界子ども学研究会での口頭発表「ヨーロッパ子ども観史研究における教育福祉史の研究動向と基本文献」では、子ども学の構成概念の大きなセクターを占める子どもの福祉に関する社会史的研究の動向から、重要な貢献をしているカニンガム(Cunningham)とスターンズ(Sterans)の研究をベースに、今後の研究課題を展望した。以上のように、第2年度の計画は、多数の文献資料の収集とともに、必要な課題と展望をまとめ、ほぼ計画通りに進展させた。次年度に向けてはPaula・S・Fass編集の大きな事典『子ども学研究百科事典』の翻訳(監訳)出版(原書房より刊行予定)も、すすめることになっている。
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