2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530713
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
遠藤 孝夫 岩手大学, 教育学部, 教授 (70211779)
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Keywords | 教育芸術家としての教師 / シラー / ゲーテ / シュタイナー / 自由な人間 |
Research Abstract |
本研究は、世界で約1千校にまで増加し、世界最大規模の学校運動となったシュタイナー学校(ヴァルドルフ学校)を支える基盤としての独自の教員養成システムの存在に注目し、シュタイナー学校の教員養成の理念とそれを実現する教員養成システムの実態を解明することを課題としている。平成22年度の研究では、これまでの2年間の研究で、ドイツにおけるシュタイナー学校の教員養成機関とそこでの教員養成カリキュラムの実態がほぼ明らかにできたことを踏まえ、ルドルフ・シュタイナーの教員養成思想、特に「教育芸術家」(Erziehungskunstler)としての教師というシュタイナー独自の思想の意味内容の解明を行った。解明できた主たる論点としては、第1に、シュタイナーの思想の根底には、知性(精神)と感性(自然)とが調和的に結合した人間を人間の理想に据え、この理想的人間への媒介を芸術と美の機能に求めたF.シラーの美的人間教育の理念とその具現形態としてのゲーテの芸術活動(ゲーテの世界観)があること、第2にシラーの思想を継承・発展させたシュタイナーは、対象の本質を直観的に把握することで、対象をより完全な形姿へと創造することを使命とする芸術家と同じ役割が、子どもを意志と感情を伴った思考を行使できる人間=「自由な人間」へと導く教師にはあると考え、教師の養成においては「教育芸術家」に不可欠の「高次の直観能力」の育成が必要と考えたということである。この成果は平成23年度中に論文発表する予定である。
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