2010 Fiscal Year Annual Research Report
1970年代以降の日本における性教育の実態とその有効性に関する研究
Project/Area Number |
20530718
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (40297049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
艮 香織 宇都宮大学, 教育学部, 講師 (10459224)
渡辺 大輔 都留文科大学, 文学部, 非常勤講師 (00468224)
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Keywords | 性教育 / ジェンダー / セクシュアリティ / セクシュアル・マイノリティ / 教材開発 / 実践研究 |
Research Abstract |
研究の目的は、(1)1970年代以降における日本の性教育の理論と実態を歴史的な視点から解明すること、(2)これまで性教育実践に積極的に取り組んできた教員の協力を得ることにより、量的・質的調査の両面から現在の性教育実践の具体的内容、その到達点と課題について分析・考察すること、(3)さらにその性教育実践の有効性について、生徒を対象とした調査、性教育実践への参与観察、既存の調査との比較などによって明らかにし、性教育の必要性について実証的に明らかにすることである。これらの成果を踏まえ、子ども・若者の現実に即した性教育の具体的課題と展望を提示することが、本研究の最終的な課題である。 上記の目的に従い、本年度においては次の成果をあげることができた。第1の目的に関しては、聞き書き調査内容の分析を行うと同時に、特に80年代以降における日本の性教育の進展状況とその課題を解明し、性教育関連事項についての年表作成を行った。第2の目的に関しては、昨年度においてすでに成果報告を実施しているが、さらにその内容を精査し英文論文を作成、スペイン科学研究高等会議からの招聘でセミナー報告を行った。第3の目的に関しては、M中学校の養護教諭の協力のもと、性教育の指導計画、指導案、教材等を共同で作成し、それによる実践の記録、観察、その実践を受けた生徒への、事前・事後調査、その分析を継続的に実施してきた。それにより、中学校において、限られた時間数の中での有効な性教育実践計画を作成することができた。特に「セクシュアル・マイノリティー性の多様性」をテーマにした授業づくりについて実践と検討を繰り返し、その課題について明らかにすることができた。さらに、性教育に熱心にとりくんでいるK高等学校の協力を得ることにより、高等学校における性教育実践研究およびテキスト作成に取り組んだ。この取り組みは、オーストラリアの教科書も参考にしながら、日本の性教育としては、先進的な性教育実践の例としての成果となった。
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