2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における保育者のライフヒストリーに関する研究
Project/Area Number |
20530748
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
岩崎 美智子 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (90335828)
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Keywords | 保育者 / ライフヒストリー / 戦後日本 / 職業 / 生活 |
Research Abstract |
平成22年度はプロジェクトチームメンバー各自の研究課題に即した内容を定例の研究会で報告し、その後研究紀要等に論文として発表した。亀崎は、保育所関連法規や行政による指導書・参考書を素材として、敗戦から保育所保育指針発行に至る20年間の保育所の保育内容を検討した。結果として、当時の保育の基本原理は自由遊びであること、養護的側面が高い割合を占めていたこと、家庭指導が保育内容として位置づけられていたことが明らかになった。松本は、インタビューデータのなかの保育者の生きがいに着目し分析した。その結果、保育者たちの生きがいの構成要素として、(1)人とのつながり、(2)未来とのつながり、(3)他者からの評価と感謝、(4)自分自身の成長、(5)子どもの傍らにいることの5つが理解された。富田は、保育者の専門性について、全国保育士会による「研修体系」を参考としながら考察を加えた。保育士の専門性の基盤として、愛情、観察力、創造力を答えた回答が多かったこと、専門性としては、ひとりひとりの子どもの発達保障、社会の動向や変化を知ることなどが、インタビュー結果から導き出された。岩崎は、元保育者たちが直面した挫折や困難が、(1)人間関係、(2)能力・専門性不足、(3)社会変動に伴う困難、(4)低待遇、(5)家庭(子育て)との両立の5種類であり、人とのつながりを生きがいにしているにもかかわらず、それらが阻害されたりかなわなかった場合にもたらされたものであることを明らかにし、あわせて人生の転機についての考察をおこなった。また、8月にスウェーデンで開催されたOMEP世界大会において岩崎と松本が研究成果の一部をポスター発表として報告し、年度末には3年間の研究成果を報告書(メンバー4人による9本の論文を掲載)として刊行した。
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Research Products
(7 results)