2008 Fiscal Year Annual Research Report
「心の理論」高次テスト(日本版)は高機能広汎性発達障害の補助診断法として有効か?
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20530896
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 斉子 Hyogo University of Health Sciences, 医療福祉学部, 准教授 (10223182)
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Keywords | 高次の「心の理論」 / 言外の意味理解 / コンピューター・ソフトウエア開発 / 評価 / 学生 / 小学生 / 発達 / 高機能広汎性発達障害 |
Research Abstract |
高機能広汎性発達障害の客観的な補助診断法を開発するために「心の理論」高次テスト(日本版)コンピューター・ソフト版を試作した.本ソフトは、冗談、皮肉、説得等の言外の意味を理解できるかどうか調べるための10課題(10点満点)からなり、音声出力を加えた紙芝居形式の画像と設問に、自動採点、レポート、自動記録保存機能を搭載した. I. 「心の理論」高次テスト(日本版)を用いた教育評価の試み 学生285名(23.6歳±5.4歳)を対象に、本ソフト版を用いて教育評価を試み検査としての妥当性を検討した.その結果、1.得点分布:中央値10点,下位5パーセンタイル値7点であった.2.下位5パーセンタイル値未満を示した10名(3.5%)には、学習困難7名、対人関係の困難6名、不適応(退学等)3名が含まれ、スクリーニングされた事例を検討結果、高次の「心の理論」の問題もその背景にある可能性が示唆された.3.検査所要時間,課題別通過率も併せて検討結果、本ソフトの教育評価としての妥当性が示唆された. II. 小学生の通過率における年齢と性差による違い 小学校1校の全学年通常学級在籍全児童472名を対象に,通過率における年齢と性差による違いを検討した.その結果、1.各課題の通過率:学年に伴い通過率は上昇し、10課題の理解可能時期(50%通過時期を操作定義)は、嘘が小1、罪のない嘘が小2、冗談・説得・皮肉は小4等、ワークブック版と同様の結果が得られた.2.性差による違い:罪のない嘘、冗談、皮肉の理解可能時期は女児の方が男児よりも1年速かった.3.検査所要時間は平均6分程度であり,本ソフトの児童に対する臨床面での有用性が示唆された.
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