Research Abstract |
3乗数のWaring-Goldbach問題に関して,高々3つの素数の積となるような8個の自然数の和として,充分大きいすべての自然数を表すことができることが知られていたが,この命題における8個の3乗数を高々2つの素数の積となる自然数の3乗に改良できることを,Brudern教授と共同で証明し,論文として発表したことが,今年度の本研究の最も主要な成果である.それをさらに改良し,8個の素数の3乗の和にできれば,この分野における画期的な成果となるが,残念ながらそこまで到達できる見通しが全く立っていないのが現状である.上記の成果については,2009年7月にフランスのLille大学で開かれた加法的・解析的整数論に関する研究集会において,川田が口頭発表を行った. 押切は,余次元1葉層を与えたときに,リーマン計量の変形に対して平均曲率関数がどのように変化するかを調べ,それから緊密葉層に関するいくつかの性質を導いた.特に,多様体が必ずしもコンパクトでない場合にも,余次元1葉層に横断的でdivergence-freeなベクトル場があれば極小葉層になることを示し,論文として発表した. さらに,Waring問題をはじめとする加法的問題における例外集合の密度を評価する新しい手法をWooley教授と共同で開発し,それによって例えば6個の3乗数の和で表せない自然数の密度や,7個の3乗数の和として自然数を表す方法の数が,期待される漸近式と整合しない可能性のある自然数の密度について,新しい評価を与えることができた.この成果については,川田が韓国の延世大学からの招待を受けた際に講演を行った.この手法は,同種の多くの問題に対しても適用が可能で,それによって得られる結果については,論文を投稿中である.
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