2008 Fiscal Year Annual Research Report
数体上の線型不等式系の同値類がなす淡中圏の構造の研究
Project/Area Number |
20540030
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤森 雅巳 Kanagawa Institute of Technology, 基礎・教養教育センター, 准教授 (20312093)
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Keywords | 代数学 / 数論 / ディオファントス近似 / 数体 / 線型不等式 / 淡中圏 / 代数群 / 表現 |
Research Abstract |
スロープ0の一般Roth系と呼ばれる数体上の線型不等式系について自然な同値類を考えると,その同値類全体は淡中圏をなすことが知られています. 淡中圏とは,適当な(アファイン)群(スキーム)の有理表現即ち有限次元線型表現全体のなす圏と同一視出来る圏のことで,圏そのものの情報だけから元の群を復元することが出来ます. 問題の淡中圏については,それを定めるアファイン群スキームの巨大な全体像は未だ知られていません. 一方で本研究の研究代表者は,有限個の部分トーラスの生成する部分群が稠密となる数体上任意の代数群,例えばトーラスそのものや簡約群,は,非等方的であるかないかに拘らずに全て,問題の淡中圏の定める群の商群として何らかの形で現われることを既に証明していました. さていま述べた様に,例えば数体上の簡約群は問題の淡中圏の定める群の商群として一意的ではなく様々な現れ方をしますが,平成20年度の研究の結果,それら様々な現れ方の自然な記述方法がわかりました. ここで「現れ方」とは具体的には,商群となることを証明する際に使用する,簡約群やトーラスの有限個の1パラメタ部分群の選び方を意味しています. これは問題の淡中圏の定める群を,素性のよく分かっている代数群の射影極限として記述する際にどうしても知っている必要があり,整理して明らかにすべき課題であった為,それは大変に意義があります. また,これまでに得られた結果はすべて残らず,任意標数の任意の体上に拡張可能であることもわかりました. これは一般の代数群の有理表現に関する,興味深い注意になっていると思います. これら平成20年度に得られた結果については,それ以前に得られていた結果と併せてプレプリントにまとめ,近日中に数学雑誌に投稿したいと考えています.
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