2009 Fiscal Year Annual Research Report
数体上の線型不等式系の同値類がなす淡中圏の構造の研究
Project/Area Number |
20540030
|
Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤森 雅巳 Kanagawa Institute of Technology, 基礎・教養教育センター, 准教授 (20312093)
|
Keywords | 代数学 / 数論 / ディオファントス近似 / 数体 / 線型不等式 / 淡中圏 / 代数群 / 表現 |
Research Abstract |
スロープ0の一般Roth系と呼ばれる数体上の線型不等式系について自然な同値類を考えると,その同値類全体は淡中圏をなすことが知られています. 淡中圏とは,適当な(アファイン)群(スキーム)の有理表現即ち有限次元線型表現全体のなす圏と同一視出来る圏のことで,圏に付随する情報だけから元の群を復元することが出来ます. 問題の淡中圏については,それを定めるアファイン群スキームの巨大な全体像は未だ知られていません.一方で本研究の研究代表者は,有限個の部分トーラスの生成する部分群が稠密となる数体上任意の代数群,例えばトーラスそのものや簡約群,は,非等方的であるかないかに拘らずに全て,問題の淡中圏の定める群の商群として自然な形で現われることを平成20年度末迄の研究の中で証明していました. 更に,それまでに得られた結果はすべて残らず,任意標数の任意の体上に拡張可能であることも示していました. さて平成21年度の研究の結果,基礎体上分裂する乗法的有限群は問題の淡中圏の定める群の商群としては決して現れないと言うことがわかりました. これは問題の淡中圏の定める群の連結成分がなす群としてその様な型の有限群が現れないことを意味していて,問題の群の連結性に関する最初の結果となります. またやはり平成21年度の研究の結果,古典的Rothの不等式に伴う線型不等式系の同値類がどの様な代数群の表現空間と見做せるかがわかりました. これは問題の淡中圏について研究代表者が最も知りたかった中心的部分であり,その全体像は未だ知られていませんが,今後の研究にとって大変大きな一歩になりました. これら平成21年度に得られた結果については,平成20年度末迄に得られていた結果をまとめたプレプリントの行方を見定めた後,出来るだけ早く数学雑誌に投稿したいと考えています.
|
Research Products
(1 results)